「破」全記録全集・庵野総監督インタビューの感想

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破」全記録全集の
庵野総監督のインタビューの感想です。
31Pもの大ボリュームのインタビューには、
制作の苦労話から奥様への想いに至るまで濃ーいお話が聞けました。
「予告」の反響の大きさで変化した、マリの待遇
『破』に関する意識が大きく変わったのは「予告」の反応の大きさ、お客さんの熱量によってですね。そこに僕の心が動かされ、作品の舵が大きく動き出したんです。
「破」劇場パンフレットなどいろいろな誌面での鶴巻監督のインタビューでも聞きましたが、
予告の反響の大きさが予想外だったということを庵野総監督もおっしゃってますね。
「作品の舵が大きく動き出した」とは、庵野さんらしい言い回しですね♪
「予告」の反響を受け、まず作業方式を見直されたそうです。
「新劇場版」の物語をあえて旧世紀版と同じ始まりにするという点にこだわった結果、
あまりにも旧世紀版にそっくりすぎてしまった「序」の反省から
「破」は新作をつくるつもりで制作する事にしたそうです。
そして脚本を見直し、期待の高いマリの待遇?が良くなっていったようですw
例えば、アバン(タイトル前の導入部)は最初から、
外国語&日本語字幕や
新劇場版ならではの新キャラ(マリ)・新EVA(5号機)・新使徒(第3の使徒)の登場といった
インパクトの強いものだと決まっていたけれど、
戦闘シーンやマリのセリフなどが変化したそうです。
ちなみに、マリにはアスカが絡んだシーンも考えられていたそうで、
そっちを見たらマリの印象がまた変わっていたかもしれませんね。
「映画」にするため変化した、アスカの役割
物語がじっくり描けるTVシリーズならいざ知らず、
短時間の映画では2号機で華麗に登場しても
ただの賑やかしで終わってしまうことを危惧された「アスカの役割」は、
鶴巻監督の意向で大きく変わる事になりました。
ゼーレのシナリオによると?、
3号機とパイロットは使徒に浸食される悲劇のキャラクター。
アスカのドラマの為にも鶴巻監督はアスカが3号機に乗る事を選んだようですねw
しかし庵野総監督は筋書き(理由づけ)に難航したそうです。
私が思うに、
旧劇場版でもアスカの悲劇がシンジの行動の変化のきっかけとなったので、
もはや運命かと。
ちなみにインタビューやシナリオによると、
アスカと第9の使徒の接触・浸食はもっと過激だったので
(旧世紀版に近い戦慄が走りました)、
現バージョンで良かった良かったと思いました。
本編で語るかどうかわかりませんが、『新劇場版』ではEVAパイロットの設定を旧作とは変えています。
アスカの苗字が式波になったことで、
女性パイロットの苗字にはみんな「波」がつきましたよね。
記事「Cut8月号「ヱヴァンゲリヲン」特集の感想」でも書いた
宮村優子さんに明かした「式波の秘密」も気になる、
EVAパイロット達の新設定とはいかに・・・?
二人目か三人目か?「レイの、選択を」
シナリオがまだ旧世紀版にかなり忠実に沿っていた段階では、
二人目のレイは第弐拾参話「涙」と同様シンジを守る為自爆していたそうです。
しかし賛否両論の末、
二人目のレイは生存し「Q」に繋がる希望のドラマを盛り上げる役割が与えられました。
シンジの「綾波は綾波しかいない!」というセリフも感動的だし、
二人目のレイにはまだまだ活躍して欲しいです。
というか、「新劇場版」でもやはり一人目のレイがいるという事ですよね??
一人目のレイがどうなったのかは「Q」でわかるのでしょうか・・・?
もし、時間も人材も十分にあったら物凄い「ヱヴァ」に?
「リスク」「作画」「時間」というワードが
庵野総監督のインタビューにはよく出てきます。
制約のなかで工夫を凝らして「ヱヴァ」を制作されていた苦労話に感心しきりでした。
でも「破 2.22」収録のメイキング「Rebuild of EVANGELION:2.02」を見ると、
手間をかけないためのCG利用のはずが、えらく凝ったりとかしてませんか?w
例えば第8の使徒の断末魔とか。
庵野総監督いわく作品が面白くなるためならば努力を惜しまないとのことなので、
記事「CONTINUE Vol.47 「ヱヴァ」女子スタッフ座談会の感想」にも書きましたが、
もしも「時間があったら全部『ヱヴァ』に使っちゃう」んでしょうね。
そうなったら「ヱヴァ」スタッフは誰にも止められませんw
オタク魂、そこここに(笑)
ファンならご存知の通り、
ネーミングやデザインの元ネタには庵野総監督らしいオタク魂がゴロゴロしていますがw、
インタビューでさらに面白い裏話が聞けました。
ヒントは、
ライディーン(顔が開く超合金持ってましたw)、
ヤマト(可変翼が出る超合金持ってましたww)。
もしかしたら
コンバトラーV(超合金持ってましたwwwでも確か合体済み分解不可だったような・・・)
の可能性も秘めていたかも?w
※各超合金を持っていたのは、放映当時の話です(古っ!)
あと、特撮作品の話もたくさん出てきまして、
知識の乏しい私にはとっても興味深い裏話ばかりでした。
自然とフィルムに込められる、ご自身の経験と奥様からの影響
かつて旧世紀版のプロットにも食事会のエピソードがあったそうですが、
「破」では食事会が絡んだドラマがとても印象的です。
奥様の影響で「食べる」事に以前より関心をもたれたそうで、
物語でも重要度が増したようです。
ほかにも、車の運転する機会が増えたという事で車のシーンも増やしたり、
奥様との山菜採りをきっかけに土の匂いを思いだし
シンジの土いじりのシ-ンを追加したりなど、
ご自身の経験をもとに最新の「気分」がフィルムに込められているそうです。
確か漫画版Volume1「使徒、襲来」の巻末メッセージなどでも言われてましたが、
その時その時の「気分」を「エヴァ」に込めておられるんですよね。
私は庵野さんの「気分」だけでなく「哲学」や「思想」も感じています。
そんな「エヴァ」や「ヱヴァ」からは、
今まで知らなかった考え方に気付いたり
自分自身を見直すきっかけになったりといつも勉強させてもらってます。
インタビューの最後の方では、
奥様や愛猫ジャック(庵野・マイティ・ジャック)を
大事にしている様子もうかがえましたね。
特に奥様の体調を気遣う優しいお言葉や
奥様への感謝の想いにキュンとしました♪
奥様・安野モヨコ著の「監督不行届」も読みまして、
巻末の庵野総監督の言葉
「(奥様を)全力で守りたい」
もズキューン!でした♪
本当に奥様を大事に大事に想ってらっしゃるんですね。
私も一人では不安定な未熟者ですが、
ダンナや娘、それに家族のみんなのおかげで
補完され生きているのだなと改めて想い、みんなに感謝しました。
以上の感想の他にも31Pにもわたるインタビューでは、
スタッフの皆さんの愛称や声優の皆さんへの感想や裏話、
音楽や効果音など音にまつわるこだわりなど大変面白いお話がたっっっぷり聞けました。
「読む」というより「聞く」という感じですねw。
インタビュー記事をまとめられた氷川竜介さんはじめ
全記録全集のスタッフの皆さん、ありがとうございました。
しっかり読んだのはまだ庵野総監督のインタビューだけなので、
あと13名のインタビューもゆっくり聞かせていただきます。
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