Cut 2010年1月号感想~鶴巻和哉インタビュー~
「『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』とはなんだったのか。
2009年夏、日本を包んだ現象を監督自ら解き明かす。」と題して
鶴巻和哉さんのインタビューが掲載されています。
※表紙写真はセブンネットショッピングの画像を使わせていただきます
前回のインタビュー(Cut2009年8月号)は
「破」が出来るまでの裏話中心でしたが、
今回は鶴巻さんが感じた大ヒットの反響や
レイ・アスカについての話題です。
「破」は謎や伏線を盛り込んでいない、というけれど・・・?
まずは、「破」の大ヒットの要因を聞かれてのお答から。
謎また謎の展開で一度観ただけでは気づかないような
伏線や仕掛けをたくさん盛り込んでいたり、
あるいは、2回、3回と重ねて観ることでさらなる面白さが出てくるような、
そういう映画ではないと思うんです。
テレビシリーズの『エヴァンゲリオン』にはそういうところがあったし、
こちら側からも仕掛けを作っていた。
(中略)
画面の情報密度の高さや、ストーリー展開の速さはありますし、
そのわりに台詞や説明が親切なわけでもないので、
確かに一回観るだけで必要な情報の全てを吸収することは
難しいだろうとは思うんですよ。
そう考えれば、もう一回見たいっていうのはあり得ると思うけど。
「破」にはホントにリピーターが多かったらしいのですが、
鶴巻さんはどちらかというと謎解きの為に
観客は何度も来たわけでないのだろうという分析みたいですね。
でも、いやいやいや、そんなことないですよ~!(笑)。
確かに旧世紀版でいうと
まだ謎より使徒との戦いが壮絶な
第八話~第拾九話あたりが凝縮されているので
「小気味良いアクション映画」という印象がありましたし、
旧劇場版の難解さと比較すれば
わかりやすいストーリーの映画だとは思いますが、
それでも「破」だって謎・伏線・仕掛け、てんこ盛りじゃないですか~(笑)。
それに「破」初見時は怒涛の展開にただただ圧倒されてしまい、
とてもじゃないけど謎どころかアクションすら楽しむ余裕もなかったような・・・。
ただただ震え涙し、感想も「良かった良かった」としか言えないくらいで(笑)。
二度目でやっとアクションにワクワクしたり、
キャラクター達の青春ドラマにドキドキ出来たような気がします。
残念ながら映画館での鑑賞は二度目止まりなので、
謎や伏線のチェックの為の三度目はBlu-rayでするつもりですよっ。
そして絶対四度・五度と観続けるでしょう(笑)。
「破」を気持ちのいい映画にまで高めた総監督
周りの人から言われたのは、
『破』は観てると気持ちがいいんだろう、ということでしたね。
それは、たとえばシンジが前向きな行動をしたから気持ちがいいっていうことも
もちろんあるとは思うけれど、そういう単純なドラマの部分だけではなくて。
映像も、音楽、音響も含めて、映画館で『破』を観ている体験そのものに、
生理的な気持ちよさみたいなものがあったんだろうって。
確かに「破」は鑑賞後に爽快な気分になりました。
それはまず、
シンジくんを始めみんなが「誰かのそして何かの為に頑張って」いて、
そしてその想いが表情やセリフやアクションに現れて
小気味良かったからだと思います。
次にサントラを聴くだけで涙したくらい
「破」の楽曲が素晴らしかったことです。
旧世紀版でおなじみの曲はパワーアップしていたし、
「彼氏彼女の事情」の楽曲は時に陽気に時に切なくドラマを盛り上げていたし、
新曲「The Final Decision We All Must Take」は
「破」の壮絶さを感じさせ胸が熱くなりました。
私は詳しくは分かりませんでしたが
映像にも音響にもいっぱい工夫が凝らされていて、
まさに「サービス、サービスぅ♪」精神にあふれていたからですね。
ありがとうございます。
次に、先ほどのお話にあった
「破」を"気持ちの良い体験が出来る映画"に仕上げた
庵野さんの仕事振りについての話題に。
ドラマと映像の仕上がりを見て、
あと早めの段階でアフレコは済んでいたので、芝居の出来も考慮して、
音響に仕掛けを施せば、映画館で『破』を見ている体験が気持ちいい、
そういう映画にすることが可能かも?くらいのことは考えたのかもしれない。
(中略)
音響は、全体でいったら最後の10分の1くらいの工程なんだけれど、
ゴールまで、10分の9まできてるところでプランを変えるなんて
普通出来ないでしょう。でも庵野さんはそれができちゃう人なんですよ。
で、そこでまたクオリティアップができちゃう人なんです。
うーん(感心)、
庵野総監督の凄いこだわりぶりが良く伺えるお話です。
シナリオ・絵コンテなど構想の時点では考えていなかったことも、
制作が進むたびにアイデアを足したり引いたりして、
締め切りギリギリまで妥協しないで磨きあげて
最高の作品に仕上げていくんですね。
またそのこだわり振りに、
ずっとお近くでお仕事されてる鶴巻さんを始めスタッフの方々が
一緒に頑張っていらっしゃるのがさらに凄いです。
以前、
「CONTINUE Vol.47」での「ヱヴァ」女子スタッフ座談会
を読んだ時みたいに、
時間があったら全部「ヱヴァ」に心血を注ぎこむ
命懸けの部活状態のスタジオカラーがまた目に浮かびました。
変わる「ヱヴァ」、変わらない「ヱヴァ」
大変ながらも「破」で「ヱヴァ」を変えるという決意のもと創意工夫する一方で、
10年前とは変わっていない制作方針もあるようで・・・。
う~ん、でも、作り方がまったく変わったということもないんですよ。
10年前の『エヴァ』も、『補完計画って具体的には何が起こるの?』って
問題になっていたんです。
(中略)
企画の段階からいくつものアイデアが提示されていたにもかかわらず、
決めなかったわけで、庵野さんにも最後の最後まで粘って、
ぎりぎりポンで出すっていう、そういうやり方じゃないと
できないことだったんだろうと思うんです。
「ニュータイプ100%コレクション 新世紀エヴァンゲリオン」や
「エヴァンゲリオン・クロニクル」に掲載されている
テレビ放映に向けての企画書には、
スタッフの志や意図のほか
ラストまでの大まかなストーリーやキャラクター、世界観まで記述されています。
そこまで決め込んでいても
"ライブ感覚"で創り続けて
いろんな形のラスト=補完計画となりました。
でもその都度たくさんの思考錯誤と決断をしていたんですよね。
そういった結果なのか意図的なのか、
「エヴァ」の世界で起こった不可思議な現象や
登場人物の言動などの謎が十分明かされることはないけれど、
それもまた魅力的です。
「新劇場版」もまた10年前の様に創りながら決めていく方針、
というか「流れのままに」制作しているそうですね。
鑑賞者の私も「Q」「完結編」がどうなるかハラハラしていますが、
それ以上に現場の皆さんが緊張していると思います♪
レイとアスカへの想い
前回のインタビューではマリの話題がありましたが、
今回はレイとアスカについてのお話がありました。
『エヴァンゲリオン』のヒロイン誰?っていうと、
それはやっぱり綾波になるんだろうなあと思うんです。
その魅力の秘密が、
結局のところ、女性的ではないところだったのかもしれないけど、
でもやっぱり、前半から中盤の少女っぽかった
綾波レイの像あってのものだと思うんです。
後半に進むにしたがって、
そういう要素はどんどん捨て去られていくんだけれど、
やっぱり前半あっての綾波レイだよなあってぼくは思うんです。
私は、庵野総監督にとってのヒロインはミサトさんだと思います。
でも「エヴァ」の場合はヒロイン"達"っていうほうがいいような気もします。
容姿も設定も、みんな同じくらいに強い思い入れが出来ちゃうんですもの。
さて、「破」のレイは旧世紀版とは違う魅力がありました。
旧世紀版のレイ(二人目)は無垢でゲンドウさんに従順で、
でも言動は少ないながらもだんだん感情や意志が芽生えて
それが三人目へと受け継がれ、
巨大化したり崩壊したりしたけれど(泣)、
全てシンジくんの為に頑張ってました。
「破」のレイは旧世紀版のレイを彷彿とさせつつ
食事をし、食事を作り、手紙を書き、アスカにお礼の言葉が言えました。
そしてなんといっても「序」で覚えたシンジくんへの微笑みを
また見せてくれたことが嬉しかったです。
旧世紀版ではレイはゲンドウさん以外には一度しか微笑まなかったから、
本編以外のイラストなどで笑うレイは
ありえない存在で受け入れられませんでした。
でもレイはもうゲンドウさん以外に微笑む事が出来るんだ、と
「破」を観て気付きました。
レイの微笑みの希少価値は薄れてしまったかも知れないけれど、
私はレイの微笑みが大好きです、いっぱい笑って欲しいです。
ぼくはアスカファンなので(笑)
庵野総監督に、『Q』の予告で、
アスカを出してくれないと絶対にイヤだって言ったんです(笑)
そうですか、そうですか(笑)。鶴巻さんはアスカがお好きなんですね。
おかげで予告見てホッとしましたよ~。
アスカも旧世紀版とはまた違った魅力爆発ですよね。
単独で使徒を殲滅出来ましたし、明るいお色気もありましたし(笑)、
加持さんへのわだかまりがないぶん
シンジくんへの想いがストレートで健気でしたね。
金髪の色もキレイだし♪
アスカの今後にはホント、母さんハラハラしているんですよ。
鶴巻さんのロングインタビューには
もっともっと制作の裏側やレイ・アスカへの想いが語られています。
とっても興味深かったし、楽しく読ませていただきました♪
今後もインタビュー記事に期待しています。
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