「まごころを、君に」ラスト考察(シンジとアスカについて)
ネタばれ感想
※詳細なストーリーなど、作品の内容について書かれています
第26話「まごころを、君に」の、そして旧世紀版全てのラストである、
「アスカの首を絞めるも頬を撫でられ嗚咽するシンジと
そんなシンジを見て「気持ち悪い」と吐くアスカ」のシーンは
私にとってず~~~っと理解不能なシーンでした。
初めて劇場で目撃した時から心の片隅に居着いている場面です。
トラウマになっているのかもしれません。
あまりにもインパクトが強いうえに
直後の「終劇」&閉幕のため"物語と切り離されてしまった"という喪失感と
もう二人の行方は自分で想像するしかないんだという淋しさを感じ、
ただただ呆然として劇場を後にしました。
一緒に鑑賞した彼氏(今のダンナです)ともしばらく何も話せませんでした。
あのラストを再び観る事が怖くて
遂に劇場では「まごころを、君に」を二度と鑑賞することはせず、
買い揃えていたLDの収録巻を入手してもしばらくは観られませんでした。
もういつの事か忘れてしまいましたが
ある日「今ならシンジとアスカを見届ける事が出来るかもしれない」と思い立ち、
数年後「まごころを、君に」を改めて鑑賞しました。
今ではたまに観たくなる時があり、収納棚から引っ張り出しては鑑賞しています。
このシーンに関してはいろいろな解釈がある事と思いますが、
私は今までに3回、解釈を考えました。
1つめの解釈は、最初と2度目の鑑賞の間ずっと自力で考えていたものです。
シンジは再び他人が存在する世界を選んだけれど
補完計画の中でアスカが自分を拒絶している事を知っていた。
なので怖くて首を絞めて拒絶してみたものの
優しく頬を撫でられたために他人の大切さに気付き後悔して泣いた・・・。
アスカはそんな"都合のよい"シンジを見て嫌気がさし
「気持ち悪い」と吐き捨てるが、
むしろ彼女にもそんな「気持ち悪い」他人の存在は必要であり
きっと二人はこれから自分やお互いの存在を考えながら生きていくことだろう。
というものです。
二つめの解釈は、数年前「エヴァンゲリオン解読 」を読んで
著者・北村正裕さんの解釈が腑に落ちて自分の解釈に補足したものです。
補完計画のなかでシンジは
自らを拒絶する(と思い込んでいる)アスカに逆上し彼女の首を絞めた。
アスカは抵抗するでもなくシンジのなすがまま首を絞められていた。
それは、"哀れ"なシンジ同様に自分も"哀れ"だから彼を受け入れた。
そして補完は進んでいった。
やがてシンジは補完された世界が「違う」と気づき
再び他人が存在する世界を選んだ。
シンジもアスカも自分自身をイメージしユイの言葉通りヒトの形に戻った。
補完計画中シンジは首を絞めれば
アスカが自分を受け入れてくれる事を知ったのでアスカを首を絞めた。
アスカはやはりシンジを受け入れ頬を撫でた。
でも、こんな事でしか分かりあえない虚しさにシンジは涙した。
そしてアスカは本当の「新生」の目覚めの一言を吐き捨てた。
3つめの解釈は、Yahoo知恵袋に投稿された
シンジとアスカのラストシーンについての質問をたまたま昨日見つけて
その返答の内容にショックを受け別の視点から考えたものです。
補完計画の中でシンジとアスカは首絞めで繋がっていた。
補完を拒否しヒトの形を取り戻してからも
シンジとアスカは首を絞める・絞められる事で繋がっていた。
アスカはシンジを愛おしく思い頬を撫でたが、
シンジはそこで満足して思わず嗚咽を漏らしてしまう。
置いてけぼりをくらったアスカは興ざめし、
「気持ち悪い」と自己完結するシンジを軽蔑した・・・。
まとめると、
「まごころを、君に」のラストシーンについていろいろ考えた感想は
「男と女って、深い・・・」
でした。
特に3つめの解釈は絶対私には思い浮かばない方向性です。
とにかく、様々な解釈を知ることが出来てまたひとつ勉強になりました。
もしかしたらまた新たな解釈を知る機会があるかもしれませんね。
そして、なにはともあれ新生したシンジくんとアスカには
母としての感情から未来への希望をみています。
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